リムと呼ばれるグランドピアノ専用の側板は、スタインウェイ＆サンズの設計思想を継承しています。リムはピアノを安定させ、響板を支えます。ボストングランドピアノのアウターリム（外リム）はマホガニーを積層させて作られており、インナーリム（内リム）は堅木メープルを使用しています。この高品質な硬質木材は木目を水平にそろえて貼り合わされており、これによってピアノ本体の安定性を高め、パワーのある豊かな響きを引き出しています。

ボストングランドピアノは、スタインウェイ＆サンズの革新的なワイドテイル設計により、通常よりも響板面積が広くなっています。これによって響きの豊かさが増し、ピアニストは実際のサイズよりも大きいピアノを弾いている感覚が得られます。ボストングランドピアノは、同様の奥行きを持つ他のピアノよりもケース後部の幅が広いため、響板面積を大きくすることができ、それによって豊かな響きが生み出されます。また、響板面積を大きくすることで低音部のブリッジ（駒）の配置の最適化が可能になり、豊かな音量と素晴らしい音色、余韻のある低音を実現しています。

ボストングランドピアノには、共鳴性と強度に優れた高品質なスプルース柾目材が使われています。響板に積層加工をしていない無垢材を使用することで、最高の共鳴と音の広がりを実現します。スタインウェイが1936年に特許を取得した、振動膜の原理を応用した響板は、中心部から端にかけて徐々に薄くなるように仕上げられています。ボストンピアノの響板は高音域から低音域に向かって薄くなるテーパー状に加工されており、低音域の薄い響板がより自由に振動することで、より大きく豊かな充実した音色が得られます。

数々のスタインウェイ独自の革新技術のなかで、米国特許のオクタグリップ ピンブロックはボストンピアノだけに採用されています。11層の堅木メープルを、木目方向を60度ずつずらして貼り合わせた4方向構造により、チューニングピンを8方向からしっかりと保持し、全方向からの力を均一に保って、スムーズな調律を可能にします。強い張力がかかっても優れた安定性を保持し、調律を長く保ちます。

ピアノが演奏されると、フレームを除くすべての部分が振動します。フレームはピアノ全体を安定させる役割を果たしています。長年の研究開発を通じて培ってきたスタインウェイ＆サンズの設計ノウハウを生かした鋳鉄製フレームは、220本を超える弦によって生み出される20トン近い弦張力を支えます。

グランドピアノまたはアップライトピアノの88個の鍵盤一つひとつが、フェルトに覆われた小さな木製ハンマーに動きを伝え、ハンマーは1～3本の弦を叩きます。1880年、スタインウェイ＆サンズは優れた安定性とパワフルな音を生み出すため、肩部を補強し、リベット止めした洋梨型ハンマーを採用しました。このスタインウェイ独自のハンマー設計は、ボストンシリーズのグランドピアノとアップライトピアノにも生かされています。さらに、グランドピアノには、スタインウェイのハンマーも作っているドイツのレンナー社製ハンマーが搭載されています。ボストンピアノのスタインウェイ方式のアクション配列は反復が速く、安定性とレスポンスに優れており、音楽家は最大限の表現とコントロールを駆使して演奏することができます。